“10年後もテーブルに並んだ食材を食べるために”シリーズのお食事会。
昨日、猟師さんにお越し頂き5月に獲れた鹿や猪を召し上がって頂きました。
お越しになったのは猟師の井戸さん。
井戸さんは大阪出身。
大学時代、環境科学部環境生態学を学び
研究テーマは「鹿の採食が植生に与える影響」だったそうです。
富士宮に移住をし自然体感プログラムや森づくり、田舎暮らしのプログラムを企画・実施しながら猟師をしています。
この地域には富士山という日本一高い山の麓にある植物や動物の生態系に魅力を感じられたそうです。
はじめに、なぜ猟師になったか、山の現状、森と里のこと、獣害のことをお話しをして頂きました。
お話しをしながら最近、鹿が好きになってしまったソラマメのお料理から。
(本当はグリンピースも使うはずでしたが、沼津の畑でハクビシンにやられてしまいました・・・・)
前菜2種のあと、鹿料理。
■鹿肉 (オス 4才 5月 富士宮にて罠で)
・ロース 木の芽の香りと共に
・内もも 黒豆のソースで
・タン ドーヴ
・フィレ 伊豆の国市増島さんのきのこと
鹿はここ10年で非常に多く繁殖をしているとのこと。
朝霧高原にて夜に2時間ぐらいでカウントをしたら600頭もいた時もあったそうです。
実は50年前は鹿が絶滅しかけていて、その影響を受けて鹿は保護される対象でした。
そして戦後に森の木を伐採して林業用の木を植えかえた時、一斉に木が小さくなり山の草が元気になり、それと同時に鹿が繁殖し始めるきっかけになった事も影響しているそうです。
次に猪料理、
■猪肉 (オス 3才 5月 富士宮にて罠で)
・ロース 天野醤油の金山寺味噌ソースで
・バラ 沼津ラガー煮込み
・ソーセージ
猪は脂をたのしむ。脂身がさくさくっとするものも。後味でさらっと甘みがあるのが特徴。
猪肉も鹿肉も臭みを感じず美味しくみなさん召し上がって頂きました。
狩猟段階で肉質が変わってくるとのこと。
まず捕り方。
ストレスを長時間与えてきたものは美味しくない。
犬に追いかけられ続けて取られたものはNG。
そして血抜きの仕方。
心臓が動いている時に血抜き。
内臓が熱を持ってしまうためすぐ内臓を出す、そして肉をすぐ冷やす。
罠の実演も。
肉にも旬があります。
野生の場合は季節の食べ物、繁殖時期などでも変わります。
「変化を前向きに楽しんでほしい」
と井戸さん。
鹿は夏に向けてこれからますます美味しくなってきます。
REFS Kitchenでディナーなどでも召し上がれる時があります。
(お召し上がりたい方はぜひご予約をお願い致します)
今回、参加された方の中に狩猟免許を持つ方もいました。
山の生態を維持するために猟師はもっと増えた方がいいようですが、なかなか増えないそうです。
とても豊かに山の知識、猟の知識を持つ方は75歳ぐらいだそうです。
もともと地元で受け継がれていたノウハウが、この業界もあと10年ほどで失っていくかもしれない現状。
食べることにより、猟師の方を応援し、山を見守っていく循環がもっとできていくといいですね。